平成9年1月1日号


 ●謹 賀 新 年      住 職  赤羽根 證 信
信心よろこぶそのひとを
如来とひとしとときたまふ
 大信心は佛性なり
 佛性すなはち如来なり
 あたらしい年を迎え、門信徒皆様には、ご健勝にてお過ごしのこととお慶び申し上げます。
 また、常日頃浄泉寺護持運営に特段のご理解とご協力を賜り、心より厚くお礼申し上げます。
 さて、昨年を振返って見ますと、8月11日、鬼首地区を襲った地震の被害はすさまじいものでありました。寺では早速、翌12日午前、責任役員の赤間さん、護寺会長の北村さんと共に、お見舞に参上いたしました。幸にして人命には被害がおよびませんでしたが墓石の崩壊は激しいもので、お盆を間近にしながらの復旧工事は夜を徹したと聞いており、現在も当時のままの姿の所もあり、今更ながら自然の驚異のすごさを感じました。
 恒例の万灯篭には、古川や仙台の方も含めて150基余りの申込みがあり、お盆の夜の風物詩として好評を博しました。
 伝統の報恩講には、多数の参詣をいただき、これも、担当地区の方々をはじめ、役員各位のご労苦に感謝の意を表する次第でございます。
 今年は、宗門にとりましても、また当浄泉寺におきましても、大きな行事が目白押しに計画されております。特に、平成10年4月、本山(東本願寺)にて、八代蓮如上人五百回ご遠忌法要を明年にひかえ、その一環として本年3月7、8の両日、仙台東北別院に於いて、お待ち受け法要が厳修されます。
 7月中旬には、私達とゆかりの浄土教のルーツを尋ねて、中国玄中寺の旅を企画いたします。皆様のご参加をご期待申し上げます。
 住職を拝命いたしてより約30年。皆様に支えられ、育まれ、ここまで来れましたこと、あらためて感謝申し上げますとともに、今後とも宜しくお願い申し上げ、年頭のあいさつといたします。
合掌

●報恩講を終えて  責任役員 赤 間 栄 夫
 浄泉寺の伝統行事である報恩講は、例年11月23日に厳修されておりますが、これまで雨天となった日は1日もなく、かつて、早朝には雨が降っておりましたが、参詣の方々がお出でになられる頃には小降りとなり、しだいに晴天となった記憶が1日だけありました。
 このように、例年好天に恵まれ続けてまいりますと、今年あたりは、ジンクスが破れるのではないかと、不安になることもあります。しかし、その心配は取り越し苦労で、当日も絶好の参詣日和でした。この気象現象を浄泉寺晴れと言っている人もあるようです。 本堂が立派に新築されて以来、参詣においでになられる方が年々増え続けており、今回、250人に迫るご参詣をいただきましたことは、誠に喜ばしい限りで、用意いたしました饅頭が足りなくなるというハプニングがあり、後日お届いたしました。
 報恩講は、午前10時より浄泉寺の住職の挨拶により開会され、参詣者全員によって正信偈を唱和したあと、責任役員より総代会の一年間の経過を含めた簡単な挨拶があり、3月に浄泉寺の寺報、7月に浄泉寺護寺会の会報と2つの会報が創刊され、ハード面・ソフト面が着実に進展されており、門信徒の皆様とのコミュニケーションが、この2つの会報の発行によってさらに深まり、菩堤寺の興隆に大きな役割を担えるのではないか、まして一つのお寺で、2つの会報を発行しているところは、寺院多しといえども少なく、これもひとえに門信徒皆様のご厚情の賜ものと深く感謝申し上げます。
 報恩講はいよいよクライマックスを迎え、参勤なされました玉蓮寺(南郷町)、願立寺(松島町)、栄明寺(仙台市)、浄澤寺(仙台市)、冷源寺(仙台市)の各住職と、当寺の住職それに赤羽根聡、赤羽根暢、赤羽根響のご兄弟も一緒に読経され、音響設備はありませんが、あたかも音響設備があるごとく、厳かにかつ厳粛に微妙なる協和音となり本堂に流れ、その重厚さにただ頭の下がる思いでした。
 その後、通来寺(北上市)の清谷和男師による法話に、参詣者は真剣に耳を傾け、なかにはメモをとる人の姿も見受けられ、報恩講をしめくくるに相応しい法話でした。
 参詣者の中には、仙台、古川、鬼首等遠方よりおいでになられた方々、あるいはまた、門信徒以外の方もおり、それぞれ庫裡にて昼食をご馳走になり、三々五々帰路につかれました。年1回の報恩講ではございますが、本当に有意義な1日でした。ありがとうございました。皆様に厚く御礼申し上げます。
 なお、岡本修一(総代)さんには、早朝より一人で駐車場の整備にご尽力され、駐車場が混乱することなく有効かつ効果的に使用することができました。あらためて深く感謝を申し上げます。


蓮如上人五百回ご遠忌法要について
 浄土真宗八代蓮如上人(1415〜1499)は、真宗教団を民衆と共に生きる教団として、宗祖親鸞聖人の教えを「お文」として分かり易く伝え、朝夕のお内仏のお勤めに正信偈、和讃を用いることを定め、「常に念仏申す身をあきらかにせよ」と生涯をつくされた方であります。政治史にもたびたび登場して現代にまで続く浄土真宗教団の、中興の祖として、戦国の動乱期に、歴史上にも著名な人物として85年を生きた方であります。
 浄土真宗は、正に親鸞聖人によって開かれ、蓮如上人によって広められたと申しても過言ではないと思います。前寺報でもお知らせいたしましたが、平成10年4月15日より10日間、本山(京都東本願寺)に於いて、蓮如上人五百回ご遠忌法要が厳修されます。また、平成9年3月7日8日には、そのお待ち受け法要が仙台東北別院において執り行われます。7日の日程の中に帰敬式があります。これは真宗門徒としての名のりを受けるもので、本山より、法名、ほかを受けられます。この機会に是非受式下さいますよう、ご案内申し上げます。なお、日程、内容等は浄泉寺までお問い合わせ下さい。


前進座公演 蓮如われ深き淵より
と き 3月8日(土)午後2時開演
ところ 宮城県民館大ホール
 全席指定 S席 6000円
      A席 5000円
      B席 3000円
 ご希望の方は、お早めに住職までご連絡下さい。

◆作者のことば 五 木 寛 之
 法然、親鸞、蓮如、この3人はそれぞれに個性の異なる影翳にとんだ宗教家だが、わたし流に割り切って言えば、こうなる。
 まず法然は、「大事なことを、易(やさ)しく」おこなうことを教えた人である。
 そして、法然の弟子である親鸞は、「やさしいことを真に深く」きわめようとした人であった。
 これに対して、法然、親鸞に帰依した蓮如は、「深いことを、できるだけ広く」伝えようと、渾身の力をこめて生き抜いた人であったと私は思う。
 大事なことをやさしく、やさしいことを深く、深いことを広く
 この3つは、私が物書きとして出発したときからの初志であり、現在も大切にしているひそかな分割禁止抱負である。蓮如の生涯を劇化する以上、この3つのことをあらためて噛みしめなおさねばなるまい。
 さいわいに演出の高瀬圭史さんをはじめ、前進座のすばらしいスタッフ、演技陣が舞台創りを支えてくださることとなった。作者としては大船に乗った気持ちで良い作品をお渡しするしかない。
 蓮如に関心のあるかたがたは勿論だが、はじめてその名を耳にするような若い世代にも、広く共感されるような芝居にしなければ、と思う。
 大事なことをやさしく、やさしいことを深く、深いことを広く
 もう一度この言葉を胸に刻み込んで、前進座のかたがたと記憶に残る仕事をしたいと願うばかりだ。
 さらにできればもうひとつ、「面白く」という言葉をひそかにつけ加えたいものだと願っている。


修正会
修正会とは、一般的に言われている元朝詣りのことであり、当然元旦に行われる行事でありますが、浄泉寺ではこの地方の伝わる新年初詣の1月16日に実施いたしております。
 これまでは鬼首のご門徒の方々を中心に、三々五々に参詣する形式でしたが、昨年から寺全体の行事として行っております。
 本年からは、さらに時間を設定いたしました。皆さんには午前10時までご参集いただき、正信偈、念佛、和讃、回向、お文を唱和した後、懇親会を行いながら初詣の誓いを味わって行きたいと思っております。
 この行事は、1年の始りとして今後浄泉寺に定着させたいと思っておりますので、是非、ご参加下さいますようご案内申し上げます。


浄土教のルーツを尋ねる  中国の旅―
 標題は「浄土教を尋ねる中国の旅」となっておりますが、実際には、一般の観光旅行と同じです。ただ、旅行の行程の中に、一般の観光旅行には組み込まれていない、浄土教の発祥の地といわれる、大原の玄中寺を参詣いたします。
 国際化と言われている今日、隣の国である中国を知ることも大切であろうし、本来仏教は、インドより中国を経て、わが国に伝来され、特に浄土真宗の門信徒として、できれば、生涯に1度は、浄土教の発祥の地を自分自身の目でひと眼見たいと、内心思っている方があろうかと企画いたしました。具体的な点につきましては、現在検討中です。
 旅行の概要は、日程が7日間から8日間、行程は、北京、大原、西安、上海で、旅行の時期は、平成九年の7月中旬を予定しております。海外旅行は、国内の旅行と違い多人数ではなく、参加人員は20名位が適当ではないかと想定しております。
 なお、詳細につきましては、後日パンフレットを配付いたしますので、ご希望の方は、是非ご参加下さいますようお願い申し上げます。

□新役員紹介□
 7月30日、役員会の席上で次の方々が新役員として選任されました。
 共栄地区    千葉 仁一様
 東川原町地区 佐々木 芳雄様
 よろしくお願いいたします。

 あ と が き
 報恩講を無事勤め終えて、ホッとしている間もなく、1月16日の修正会のご案内に間に合うよう、急ピッチで寺報第2号を制作した。
 先日「蓮如さんは女の人ですか」と聞かれた。考えて見れば、これまで親鸞聖人のことは話していたが、蓮如上人のことは僧侶以外、ごく一部のご門徒さんしか知らないと思う。これは私の責任と痛感した。幸い、NHKテレビで蓮如上人の特集番組が放送されたという、そのビデオが手に入ることになった。1月16日の修正会に見られることになればと思う。

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