第5号
平成12年7月20日号


●同朋・同行のいのちの中で  護寺会会長 北村 明
   本願力にあいぬれば
     むなしくすぐる人ぞなき
    功徳の宝海みちみちて
     煩悩の濁水へだてなし
                  (和讃より)


 暑中御見舞申し上げます。
 いつも、ご門徒の皆様には浄泉寺護寺会運営について、ご協力をいただき、年毎に充実した寺へと変わりつつあります。これひとえに、ご門徒皆様のお力の賜と感謝いたしております。
 同朋新聞、読者のひろば「心のよりどころ」に掲載されました記事を読ませていただきました。

今のこの自分があるのも、祖先からの延長線上に点としての私があり、また未来への橋渡しの自分でもあるのだと思わせてもらう。よろこびや悲しみ、怒り、そして感謝など、いろんな思いが出ては消え、消えては出てくる暮らしの中を、出来れば心おだやかな気持で送りたい。−中略− 以前の私は自分の世界を作り、それを絶対として信じ、当然のことの様に、自分自身のことは誰よりもわかっていると思い込んでおりました。しかし、ふとしたことで親鸞聖人の教えに出遇い聞法を続け今日に至っている。

とのことであった、
 この文章を読んで私は、毎朝菩提寺に参詣して一日の無事と家内安泰、健康などを願ってお参りしていたことが、これでいいのだろうかと考えさせられました。そして我が身の存在が、他の様々な人や、物のお陰で生かされて生きていることに、あらためて感じた次第です。
 3年前、八代目蓮如上人五百回忌のテーマ、「バラバラでいっしょ」の言葉は、当時何のことかわからなかったが、一人ひとりの差異を認め、いのち平等の世界を共に喜び合う生活実現なのだと感じました。皆さんも時々菩提寺の本堂に詣ることを、お進めいたします。合掌


●「蓮如の里」吉崎を訪ねて  責任役員  赤間 栄夫
  浄泉寺の今回の本山(東本願寺)参詣は、浄土真宗の中興の祖と云われる、浄土真宗八代の蓮如上人がひらかれた吉崎御坊の参詣が主目的でした。
 去る5月21日参加者総勢32名は、古川駅に集合して古川駅発7時6分の新幹線上り東京行きに乗り込みました。例によって浄泉寺晴れの幸い先のよい旅立ちでした。
 京都駅より23日の帰着の小松空港までは観光バスの旅です。
 本山の参詣には、住職の第3子響さんもご一緒され、御影堂をバックにした記念の集合写真に入っていただきました。
 国内旅行の評価はなんと云っても夜の宴会です。今宵は福井県の温泉郷である、芦原温泉泊りです。時間的にも途中で観光する余裕はなく、午後6時30分までには遅くともホテルに着きますようにとの私の願いも乗せて一路芦原へバスはひた走り、思ったより早めの到着で、長旅のつかれを癒やし夜の宴会は大いに盛り上りました。
◆蓮如の里
 翌日は東尋坊の景観を眺めいよいよ東本願寺別院の参詣をする。 通称「御山」といわれている吉崎御坊跡には、蓮如上人が吉崎下向時の旅姿の銅像があり、御山のシンボルとなっている。
 蓮如上人は、1457年に43才で本願寺八代として法燈を継ぎ、吉崎滞在の4年余の間に、御文にて分り易い宗議の普及や正信偈、和讃を開版するなど、活発な布教活動により衰退の極にあった本願寺の勢力を向上させ多くの信者が吉崎に集まり、後の真宗王国の礎を築かれました。吉崎退去後も蓮如上人は山科・石山等で精力的な活動を続け、1499年85才で入寂するまで、生涯を真宗の伝導に捧げられました。
「吉崎の七不思議」など蓮如上人にまつわる伝説も多く、いまでも蓮如上人と信仰と崇敬の念をこめて「さん」づけで呼ばれ親しまれております。また御山の蓮如上人の銅像は高村光雲の四大傑作の一つで貴重な像です。
 歌人吉井勇は次の一首を詠んでおります。
    聖蓮如ひらき給えるおん寺に
      来ればかそけし松風の音
 波静かな湖、緑濃き吉崎山、蓮如上人が幼なき日に別れた母の懐を思わせる安息の地松風に耳を傾けると、誰もが心安らぐ思いのするような吉崎をあとにして、バスは宿泊地の輪島へ向った。
◆能登路
 能登有料道路そして八kmにも及ぶ砂浜を観光バスが走ると聞いている千里浜にバスは乗り入れられました。最初はバスの運転士が「この長い砂浜をバスで走ったならさぞ面白いだろうなあ」という単純な発想で、あるとき回送のバスを思い切って砂浜に乗り入れて走ったところ、他の人々も走るようになりそれが観光の一つになったといわれているのが千里浜です。
 輪島では、ホテル高州園に入る前にキリコ会館を見学する。キリコとは切子燈籠のことで笹キリコ、四本柱の竹キリコそして木製となり漆・金箔・彫刻まで競いあうようになったそうで、信仰心の篤い能登の土地柄があらわれています。ホテルでの今宵の宴も大いに盛り上り、翌朝は有名な輪島の朝市を見学して、文化財指定庭園、特別名勝の兼六園・忍者寺で有名な加賀百万石祈願所で日蓮宗正久山妙玄寺などを見学して小松空港より仙台空港、そしてバスにて帰宅しました。
 今回の旅をしたことで、帰路を飛行機にすれば本山参詣をして島根・取島への旅も可能であるとの確信を強くすることが出来ました。


平成十二年度浄泉寺護寺会総会報告      渡辺 敏雄
 例年、日曜日の開催でしたが、本年は衆議院議員の選挙があり、投票日を避け前日の6月24日(土)午後1時、本堂において、平成12年度浄泉寺護寺会総会が開催されました。
 当日の出席者はやはり少なく、112名(委任状78通)の参加がありました。
 開会に先立ち、本堂の前にある「倶会一處」(無縁の塔)の場で、雨の中読経合掌ののち、本堂で勤行、全員で正信偈を唱和、開会。蘇武則行(新橋)さんの進行、議長に内田政明(通丁)さんを選出、平成11年度事業報告収支決算報告、続いて平成12年度事業計画予算などを審議、質疑が交わされ、採決の結果満場一致で原案通り承認されました。

平成11年度主な事業報告
○10月5日、仙台組主催聞法会が松島の願立寺で行われました。
 県内の浄土真宗寺院のご門徒有志180名ほどの参加があり、浄泉寺から主に町外に居住している方8名が出席、願立寺副住職様のご法話に、熱心にメモを取っておられる方々もおられました。
○平成12年4月1日、本山東本願寺(京都)で恒例の、宗租親鸞聖人誕生会(春の法要)に、坊守さんと副住職聡さんが出席されました。
 春の法要は音楽法要で全国から出仕仏の希望を募り行われる法要です。普段の法要と又違った趣きが感じられました。
○5月21日から2泊3日、本山と吉崎別院参詣と北陸路の旅が実施されました。
 本山八代蓮如上人が開基のゆかりの寺へ、32名の参詣がありました。

平成12年度事業計画(平成12年6月〜平成13年5月)
○定例総会開催
6月24日、於浄泉寺本堂
○本堂・庫裡等寺周辺の環境整備
○墓地、境内地周辺除草
 年2〜3回
○孟蘭盆会、万灯会の開催
○教化事業に関する項
 聞法会  10月頃
 門徒会研修会
 親鸞教室
 会報の発行
 修正会、1月16日午前10時
 涅槃会、2月15日午前10時
 ほか各種研修会の開催
○上山研修、公開講座への参加


仙台組公開講座に参加して
 私の生家は代々浄土真宗です。7年前の転居を機に、浄泉寺の檀家としてご縁を頂くことができました。その間、赤羽根住職さんからは折りにふれ親切なご教義を頂き、気さくなお人柄とともに敬服しております。
 去る4月、寺参りした際に公開講座のご案内がありましたので妻と参加しました。第15回仙台組公開講座は、6月3日午後2時30分から5時まで、当日は天候にも恵まれて、会場の仙台シルバーセンター交流ホールはほぼ満席、講師は大谷大学長、小川一乗さん、テーマは「見失われたいのち」で、現代の物質文明のもとで忘れかけている命の尊さについて深く感動させられました。
◎講演の中から、
ご縁
 人間の命はご縁によって与えられたもので私物ではない。ご縁によって現在の姿があり、明日はどうなるか分からない。今の瞬間の命でしかない。命はこの関係性の中にあり、それに目覚めることが大切であり、この瞬間を感動できる生き方こそ望ましい。すべて人間はご縁によって生かされており、そのありがたさに合掌。
臓器移植
 死なない命を作ろうとする。誰かの命を助けるから、人間の命を利用する。生きている人間の都合だけで命を私物化する。仏教は死すべき命を促えます。浄土とは命の古里です。人の命は命の取り引きで助かるものでなく、命が生きている間に精一杯助け合うことが大切で命は自分のものでない。
溺れている顔
 日本の仏教系の大学生が、インド、ブータンに研修で訪れたとき、向こうの大学生は日本の大学生に対して、「経済的に豊かなのに、幸せそうな顔をしていない。仏の教えよりも、お金を大切にしているからでないか」、日本の大学生の感想は、インド、ブータンではボロを着ているが生き生きと目が輝いていた。人間の古里へ行ったようだった。
21世紀?
 21世紀はますます人間が見えにくくなる。人間同士の付き合いがコンピューターになり、相手が見えなくなるところに人間の関係を見失う。品種改良や遺伝子の組み合わせなど医学の進歩により、特に臓器移植では、人間の善意がロボット化してしまうのでは?
(寄稿 平山耕實さん)

お盆の行事について
 今年もお盆の季節になりました。恒例の行事のご案内をいたします。
◎8月7日、一斉清掃(墓地・境内地)午前5時から1時間、各自の墓地と本堂境内周辺の清掃を行います。
 ゴミは必ず焼却所へ持参して下さい。六時から朝の勤行(おつとめ)に参詣し、本堂で茶会、7時に解散となります。
◎8月13日から16日までの夜7時から9時、恒例の万灯会が行われます。
 参道の両側の灯篭に、赤あかと灯がともり、幻想的な雰囲気の中での墓参りは、夜の風物詩ともなりました。是非、ご家族揃ってお出かけ下さい。
 なお、お申込みは地区役員か寺までご連絡下さい。
 会費は1基1000円となります。

  お墓参りのマナーとおねがい
   1.造花はあげないで下さい。
   1.こわれた茶わん、もえないゴミは持ち帰りましょう。
   1.お供物は残さないようにいたしましょう。


 あ と が き
 3年に1度ぐらいの間隔で本山参詣を実施してもう9回目になる。そのたびに新しい出遇いと発見があり、お世話される役員の方の苦労が身にしみて有難い。
 今回、金沢兼六園を散策した。
ゴミはおろか余計なものがひとつもなく整っている。日頃境内や墓地の管理に頭をいためている私にとって、感心を通り越して驚きを感じた。
 岩出山駅の公衆トイレや周辺を毎朝欠かさず清掃していた今は亡き朝日屋さんの姿を思い出した。
 去るものは、日々にうとし。もうすぐお盆です。私達の心よりどころをとりもどす仏事にしたいものです。住職

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