第6号
平成13年7月30日号


●信心の智慧  護寺会会長 北村 明
   智慧の念佛、うることは
       法藏願力の なせるなり
   信心の智慧、なかりせば
       いかでか涅槃を さとらまし
                   (正像末和賛)


 暑中お見舞い申し上げます。21世紀の幕開けは、記録的な大雪に見舞われ、連日の除雪作業で、思わぬ出費もかさみ、そのあとの屋根の修理も夏日を迎えた今も未だ完了していないところも、あるやに聞きおよんでいます。
 ご門徒の皆様には、浄泉寺護寺会運営について、ご協力をいただき厚く御礼申し上げます。今年の護寺会総会は諸般の事情により、年度末(5月31日)から総会までの日程がなかなか取れず、遅れてご案内を出すことになり、皆様にご心配やご迷惑をおかけいたしましたが、皆様のご理解ある計らいにより、実りのある総会になりましたこと、あらためて感謝いたします。
 冠首は宗祖親鸞聖人の和讃の一首であります。本山から発行されている「真宗の生活」を読んでいますと簡単な言葉で書かれてはいますが私にはなかなか実践出来ない様に思います。「念佛は自我の破れる音である」と表現されていますが深い意味のある様です。
 毎回書いていますが、毎朝の様に墓参り本堂に参詣をしていると、いろんな方から「大変なことだ、私にはとても出来ない」と話しかけられます。しかしいまでは私の生活の一部の様になってしまっており、決してつらいと思ったことはありません。
 お念仏は、どこかにいらっしゃる阿弥陀如来に向って称えることではなく、私が称えるのに先立って、私が念じられ願われていたという佛心に目ざめ、うなづき順う心が声となって表われるのが、念佛だ」と説かれています。
 もうすぐお盆です。ご先祖の墓参をしながら本堂に参詣して自分をじっくり見てはどうかなと思います。


●かさ屋さんとげた屋さん  赤間 栄夫
 私の子供のころ、傘といえば一般的には唐傘で、番傘・ご婦人の方は蛇の目傘であり、歌の文句にも「破れ番傘片手に持って」とか「蛇の目でお迎えうれしいな」など思い出します。学校への登下校の際多くは下校のとき、かさ屋さんの前に立ちどまり、傘のできるまでの工程を友達といつまでも見ていた記憶があります。
 げた屋さんは自宅から学校へゆく途中に2軒程あり、千枚通しの親分のような工具で鼻緒を下駄につけるところを見ていたことを覚えています。祖母は毎年冬になると私とか妹をつれて湯治をしていました。旅籠のお客さん達が旅館の浴衣を着て旅館の下駄をはき温泉街をカランコロンと歩るいていた音がいまでも耳朶に残っています。現在ではホテル内に売店があり、そんな光景は目にすることができなくなってしまいました。
1人のおばあさん
だいぶ以前のお話ですが、おばあさんが1人で住んでいて、天気の良い日が続くといっては泣き、雨の日が続くといっては泣いていたそうです。近所の方が不思議に思って、「おばあさん何んで泣いているのですか」と聞いたところ、「実は私には2人の娘がおり、姉はかさ屋さんに嫁ぎ、妹はげた屋さんに嫁いでいるので、天気の良い日が続くと、傘が売れないだろうなあと姉の方が心配になり、雨の日が続くと、下駄が売れないだろうなあと妹の方が心配になり泣いているのだ」と話してくれたそうです。
発想の転換
近所の人はその話をきいておばあさんにやさしく頷き「でもねおばあさん、そのように考えないで次のように考えてみてはどうですか」と、おばあさんに話したそうです。天気の良い日が続いたときは、下駄が売れていいなとげた屋に嫁いだ妹の方を思い、雨の日が続いたときは、傘が売れていいなあとかさ屋に嫁いだ姉の方を思ったらよいではないですかと云ったそうです。おばあさんはそうですねと云って、それからはニコニコ顔で一生を過ごしたそうです。
私達は日常生活の中でこのようなマイナス思考的な行動が意外と多く、その愚かしさを見事に云いあてていると思います。
動物との違い
人間と動物とのちがいはいろいろあると思いますが、さまざまな事態に遭遇した場合自分をいかに処置すべきか、そこには発想の転換がありこの発想の転換こそ動物には出来ない人間特有なものと思います。
これからの人生を発想の転換でプラス思考で生きてみようじゃございませんか。


本山(東本願寺)参詣と鳥取・島根への旅
前回は本山参詣と「蓮如の里」吉崎・能登路の旅でした。この旅をしたことにより、帰路を飛行機にすれば鳥取・島根への旅も可能であるとの確信を強くすることができました。したがって今回は、鳥取・島根県への旅を予定しております。旅行の時期・旅行コースについては未定ですが、日程については例年のように2泊3日の行程にしたいと思っております。旅行の良し悪しは、天候に大きく左右されますので、5月のゴールデンウィークのあと、そして6月の入梅前の5月中旬・下旬の頃を目標にと考えております。
旅行の実施までは、時間がたっぷりありますので皆様によろこばれる企画立案にて期待にそえるような旅にしたいとスタッフ一同頑張っております。お楽しみにお待ち下さい。
(赤間)


公開講座に参加していのちを見つめる   「いのちの連帯性」 ●講師大谷大学学長 小川一乘
 義母の介護をしながらお彼岸に時間を作って墓参りに行った折、住職さんから、公開講座のお話をいただきました。
仙台で開かれるなら、なんとか行けると思い6月16日出席させていただきました。お寺様のお話だろうから私にはわからないのではないかと思っていましたが、お話しの内容はとてもわかりやすくていねいだったので大変感動いたしました。いつも老人と向きあい、自分だけが苦労している様な気持をかかえて来た私には、先生のお話のように大切な「いのち」をあずかっている自分でありそれは義母のためだけではなく自分のためだったと気付かせていただきました。
会場の旭ヶ丘青年文化センターは座席が半分ほど空席になっており、この様なすばらしいお話を、もっと多くの人に聞いていただいたらよかったのにと感じました。住職さんにもいい機会をいただきまして心から感謝申し上げます。ありがとうございました。
(仙台市在住 高橋 良子)


 ●コラム
 5月27日、新緑の秋田駒ケ岳山ろくの名湯、黒湯に浴る。ホテルから車で20分ほど、まだ100年は経っていない若々しいブナの林の中をぬう様に行く。自然のいとなみの不思議さと、深いやさしさを感じた。秘湯だというのに結構来る人がいるものだと思った。東京から来たという人と話す。この先に玉川温泉というガンに効く名湯があると教えられた。湯澱から湯の華を持ち帰る姿や、野草、野の花を採る人間達の醜くさを、山の主はどう見ているのかナーとゆったりと考えていた。オーイ時間ですよーとの声。急いで湯から出る。そこここに未だ雪の残る夕暮れのブナの林をあとにした。

門信徒のみなさまへ
 常日頃、浄泉寺護持にご協力をいただき、心より厚くお礼申し上げます。
 さきに墓参のマナーとお願いを掲示いたしました。みなさまのご理解とご協力により造花は完全にあげなくなりました。感謝申し上げます。
今後の活動は、もえるゴミともえないゴミの分別を、あらためてご協力をおねがい致します。
★   ★   ★
もえるゴミ(お花)は焼却所へ
もえないゴミ(茶わん、カン類など)は必ず持ち帰り
お供物(お菓子、くだもの類)は、お参りがすんだら、お墓に残さず、いただくか、お持ち帰り下さることを徹底していただきます。みんなで、きれいな環境を作って行きましょう。
以上
住職 赤羽根證信


 あ と が き
 今年の梅雨は例年より降雨の日数が少なく、凌ぎやすいのではないだろうか。まもなく梅雨があがるのでは。ぺらぺらと日めくりをめくっていたら7月20日が(土用)であった。ふと、ありし日の祖母を思い出した。高齢のため耳が遠くなっていたが遠雷を聞き止めて、梅雨明けが近いよと、ひとり言のように幼い私に教えてくれた。山好きで雨の嫌いな祖母だった。それから何年か過ぎて祖母が逝き、それからまた何年か過ぎ、昔から雷が鳴らないと梅雨があがらないと言い伝えられていることを知った。私達人類の先人の方々の永い歴史のなかで経験した生活の智恵なのであろう。
そんなことを思うと、文明社会に生きていてもなぜか一蹴することができない気がする。そんな祖母の50回忌の供養を私の妻をはじめ、祖母を知らない多くのうからと共につとめた。
合掌
赤間栄夫

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