釈迦内柩唄

水上 勉 作

〈釈迦内柩唄古川公演にあたって〉

釈迦内柩唄を観る会 代表 赤羽根 證信

代表 赤羽根 證信 「釈迦内柩唄」との出遭いは、6年前仙台での真宗大谷派東北別院主催の公演でした。 その年の9月8日、原作者水上勉(みずかみ つとむ)氏が肺炎の為命終され、今年7回忌にあたります。あの公演以来身を揺さぶり続けた水上文学の基調は、常に弱者への愛のまなざしであり、いのちの平等感、死をつつむ愛の表現であったと思います。

今回、宗祖親鸞聖人750回忌ご縁忌お待ち受け事業、成願寺建設10周年、そして私事ではありますが住職在任50周年を縁として、地元古川での公演を思い立ちました。

人は生まれると同時に死の種を宿し、やがてその種が熟し新たないのちの種となって落ちます。思えば死は私たちが生きている最も近い同伴者なのではないでしょうか。しかし、私たちはそれを忌み嫌うものとして遠ざけ、それと向き合うことをせずに、「善し悪し」「勝ち組負け組」と差別して生きています。

「釈迦内柩唄」はそれらを超えて「一人ひとりが輝くいのちを生きること」を私たちに問いかけます。これは仏教が求めてやまない「生死出すべき道」「いのち帰すべき道」の表現ではないでしょうか。